テニスラケットの科学(846)
:テニスラケットの科学(844)の補足2
:テニスのパフォーマンスに与えるストリングスの物理的影響と心理的影響
-アガシ選手のストリングスとパフォーマンスの関係をどう理解すべきか-
:備忘録:第15回日本テニス学会 2003年11月15日~ 11月16日 (東京)(その2)
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テニスのパフォーマンスに与えるストリングスの物理的影響と心理的影響
-アガシ選手のストリングスとパフォーマンスの関係をどう理解すべきか- *
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(文献)
川副嘉彦、テニスの科学、第12巻(2004年)、pp.14-18、日本テニス学会
https://kawazoe-lab.com/research/tenisunopafo-mansu/
・ アガシ選手が2002年ウィンブルドンの2回戦でパラドン・スリシャパという選手に敗れました。
この試合に関するインタビュー(ホムシ、 2002)においてアガシ選手は次のように語っています。
“
ラケットのストリングに技術的な問題がいくつか生じた。
ストリングを変えてクレー(土の)コートではうまくいっていたが、芝(のコート)では悪夢を見る結末になってしまった。」 ———-
芝での練習のときは大丈夫だと思った。
しかし、試合でボールを打ったら、自分でもどうしてなのかよく分からないが、ボールを捕らえるポイントがつかめず、うまくコントロールができなかった。
そしてコントロールができるようになったら、今度はあまりにもスピンがかかりすぎて、ネットを越えなかった。
“
・ 上述のアガシ選手のインタビューは、ストリングスとパフォーマンスとの関係について、大きな誤解を与えやすいですね.
ストリングスの物理的影響とメンタル的な影響の両方が含まれているからです.
インパクトにおけるストリングスの物理特性の違いは,実測に基づいて解析してみると,テニスの勝敗を左右するほど大きくはありません.
結論から言うと、ストリングスの物理特性の違いが打球に直接与える影響は小さいのです.
しかし、結果としては、天才・アガシ選手の例のように、用具の微妙な変化がトップ・プロのパフォーマンスに大きな影響を与えることになるのです.
パフォーマンスは,プレイヤー・用具・環境の相互作用によって発現します.(川副,2003b)
テニスコートの状態,ボールのバウンド特性,あるいはプレーヤーの体調,違いなど,環境の違いや,それによるプレーヤーのメンタル的な影響の方が,ストリングの影響よりも,はるかに大きいでしょう.
天才ほど,不調の原因を自分以外の道具などの原因にする傾向があるようです!(?)
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誤解の多い(インパクトにおける)ボールとストリングスの性能
「ストリングスを緩く張ると、ボールがよく飛ぶ」と言われますが,実際は,
実験結果(図参照)によると、常用の衝突速度 20 m/s の場合、テンションを 44 % 増減しても、反発係数は 1.4 %しか増減しません.
常用の衝突速度 30 m/s の場合はテンションを変えても反発係数はほとんど変わりません.
反発係数におよぼすテンションの影響は非常に小さいのです.
ストリングを張るときの「張り上げテンション」と反発係数のメカニズムは,理論的にも説明できます(Kawazoe et al. , 2003d).
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「ストリングスを緩く張るとテニス肘防止になる」と言われますが,誤解です.
ストリングスの「面圧」(たわみ剛性)は、たわみ量(あるいは衝突速度)に比例して高くなり、衝突速度が大きくなると 張り上げテンション(たわみゼロの状態)の10 倍近く変化します.
面圧がテンションに左右されるのは、衝突速度がきわめて小さい場合だけです.
通常,世の中でテンションと称されているのは、ストリングを張ったときのテンション(張り上げテンション)ですが、ボールを打撃したときのテンションによる面圧は,張り上がりテンション(初期張力)の10倍近くになります.
したがって、初期張力の違いは大きくは影響しようがないのです.(Kawazoe et al. 2003d、 2003e).
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画像1:
アガシ選手のストリングスとパフォーマンスの関係をどう理解すべきか

図ー1
画像2:
誤解の多いインパクトにおけるボールとストリングスの性能

画像ー2
画像3:
ストリングの張り上げテンション,ボールとストリング面の衝突速度と反発係数の実測例
(注)ボールとストリング面の反発係数(フレームの影響を除く)とボールとラケットの反発係数は別物です!

画像ー3
画像4:
「ストリングスを緩く張るとテニス肘防止になる」と言われますが,誤解です.

画像ー4
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(参考記事)
・テニスラケットの科学(844)
:テニスのパフォーマンスに与えるストリングスの物理的影響と心理的影響 -アガシ選手のストリングスとパフォーマンスの関係をどう理解すべきか-
:プロ野球の打撃論からのヒント:野球バット職人・久保田五十一さんの思い出
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-844/
・テニスラケットの科学(845)
:テニスラケットの科学(844)の補足1
:テニスのパフォーマンスに与えるストリングスの物理的影響と心理的影響
-アガシ選手のストリングスとパフォーマンスの関係をどう理解すべきか-
:備忘録:第15回日本テニス学会 2003年11月15日~ 11月16日 (東京)(その1)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-845/
